もう理由は忘れてしまったのだけど。
たぶんいつもの、ささいなことで
娘を叱った後だった。
(先に書いておきますが、
何も大変なことは起こってないので
安心して読んでもらえます、大丈夫です)
ピアノ教室に行く時間が迫ってて、
仲直りできないまま娘はひとりで玄関を出ていった。
ただ、その日は、祝日だった。
少し前に確認した時には
休みのお知らせはなかった。
先生に直接聞けばよかったんだけど。
晴れたら少し暑いぐらいの春だったけど、
その日は冷たい雨だった。
なんとなく、胸騒ぎがして、
すぐに下の子を連れて傘を差して教室に向かった。
4歳、雨の中を走らせるには危うく、
はやる気持ちが繋いだ手を引く力に変わる。
教室の窓が見えた瞬間、
サッと血の気が引く感覚。
明かりがついてない。
途中で娘とすれ違うこともなかった。
別の道から帰った?
息子を抱えて走るけど、4歳にもなると長くも走れず。
家は見えるけど玄関に娘の姿はない。
怖がりな娘が一人でどこかに行くなんて考えられないけど、
最近はひとりでお友だちの家に行くし、
近所をダーッと走ることもあるから
まさか…と。
庭を抜けて家の裏に向かうと
娘の傘が開いた状態で地面に置かれていた。
駆け寄ると、傘の中にしゃがみ込んだ娘がいた。
こどもの前でこんなに泣きじゃくったのは初めてだったと思う。
体の震えを抱き締める力で止めたかった。
もう何を言ったのかは覚えてない。
これまでも何度も何度も、
「大好きだよ、愛してるよ、あなたも弟もどっちも1番だよ」
伝えても伝わりきれてない感じがしてたけど、
心から愛してることは嘘じゃないって伝わったと、
娘の涙が教えてくれた気がする。
言葉だけじゃ足りない、
でもこの愛はどう伝えていったらいいんだろうって、
ずっと思ってた。
ただ愛を「伝える」ことにとらわれると、
「届いたかどうか」ばかり気になってしまうけど、
娘の涙と、自分の震える体。
それだけで、私の中で確かさに変わった。
私の中に、溢れるほどの愛がここに「ある」、と。
だから、こどもとの関係に躓くときに
「愛がない母親だ」と責めることも
なくなるだろう。
「愛そう」としなくていい。
私たちは、もう十分に愛しているから。


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